「習い事に行きたくないけど辞めたくない」子どもの本音と親のベストな対応法

「習い事に行きたくない」と急に言い出す子は珍しくありません。

学童クラブや習い事教室を運営している私ですが、特に4~5月に多く見られる傾向だと感じています。

ただし、子どもにヒアリングすると「辞めたいわけではない」ということもしばしば。

そこで、今回は、お子さんが「習い事を辞めたい」と言い出した際の保護者の対応についてご紹介します。

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  • 大手進学塾での指導実績あり
  • 公立高校に外部人材として登用
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「習い事に行きたくない」という背景

お子さんが「習い事に行きたくない」と言うと、戸惑う保護者の方は多いと思います。

理由を聞いてみてもはっきりしなかったり、「でも辞めたくない」と返ってきたり。

このような、気持ちが揺れ動いている状態は、子どもによくある自然な反応です。

よくある理由としては、学校や他の活動との両立で疲れていたり、思うように上達できず悩んでいたりというもの。

また、「保護者への甘え」であることもあります。

在宅勤務の保護者が増え、「家に帰れる」「家にいられる」状況であれば多少の体調不良だったとしても「行きたくない」「休みたい」となる傾向が増えてきているように感じられます。

さらに、先生やお友達との関係にストレスを感じていることもあるでしょう。

一方で、続けてきた時間や努力を手放すのが惜しかったり、自分なりにやりたい気持ちが残っていることもあります。

こうした相反する気持ちを、子どもはまだうまく整理できないだけなのです。

親としては、すぐに辞めさせる・続けさせるといった結論を出すのではなく、まずは「何が起きているのか」を一緒に整理する姿勢が大切です。

親がまずできるのは、聴いてあげることから

子どもの気持ちを知るには、まず話をじっくり聴くことから始めましょう。

「どうして行きたくないの?」と問い詰めるのではなく、「何か最近疲れているみたいだけど、大丈夫?」とやさしく声をかけてみてください。

親が安心して話せる空気を作ることで、子どもも本音を出しやすくなります。

気持ちを整理するためには、「感情」と「事実」を分けてみるのも有効です。

たとえば「つまらない」「こわい」といった気持ちと、「テストが難しい」「先生が厳しい」といった具体的な出来事を、一緒に紙に書き出してみましょう。

視覚的に整理することで、子ども自身も自分の心の中が見えてくるようになります。

「行きたくないけど辞めたくない」という矛盾も、そのまま受け止めてあげることで、子どもが安心して次のステップを考えられるようになります。

続ける?休ませる?判断に迷ったらチェックしてみよう

習い事を続けるかどうか、判断に迷ったときは、次の5つの視点でチェックしてみてください。

ひとつずつ確認することで、今のお子さんの状態を冷静に見つめることができます。

  1. 体調:最近、疲れや寝不足が続いていないか。
  2. メンタル面:学校や家庭で大きなストレスを感じていないか。
  3. 人間関係:先生や友達との関係に不安や悩みがないか。
  4. 習得の難しさ:目標が高すぎて、自信をなくしていないか。
  5. 本人の目的:なぜ習い事をしているのか、自分なりに言葉にできているか。

もし複数の項目に当てはまる場合は、無理に通わせず「お試しで休んでみようか」といった対応もありです。

休む場合は、「1ヶ月だけ」「次の発表会まで」など、期限をあらかじめ決めておくと、ダラダラと休みが続くことも防げます。

再開するかどうかのタイミングを、親子で共有しておくことも大切です。

続けると決めたら、やる気を取り戻す工夫を

お子さんが「やっぱり続けたい」と感じているなら、その気持ちを大切にしながら、取り組みやすくなる工夫をしてみましょう。

まずは短期的な目標を立てるのがおすすめです。

「次の検定でこの1曲を弾けるようにする」「来月までに25メートル泳げるようになる」など、達成しやすいゴールがあると、モチベーションが上がりやすくなります。

達成したときには、ごほうびを用意しておくのも効果的です。

好きな食事や、お出かけなど、小さな楽しみを目標にすることで、努力が報われる実感を得ることができます。

また、習い事の先生に、最近の様子を伝えておくのも大切です。

「本人が少し気持ちに波があるようで」などと相談すれば、先生側も気をつけて接してくれるかもしれません。

さらに、練習の様子を動画や写真で残しておくと、成長の記録が見えるようになります。

子ども自身も「前よりできてる」と気づけると、自然と前向きな気持ちが芽生えてきます。

どうしてもつらそうなら、辞める・転向も前向きな選択

いろいろ工夫しても、どうしてもお子さんがつらそうにしているなら、無理に続けさせる必要はありません。

習い事をやめることは、決して「投げ出し」や「失敗」ではないのです。

「頑張ったけど、ここで一区切りにしよう」と伝えることで、子どもにとっては“卒業”という前向きな体験になります。

また、まったく別の分野に転向するのではなく、これまでの経験を活かせる習い事に切り替えるという選択もあります。

たとえば、ピアノから合唱へ、サッカーから陸上へといったように、好きな部分や得意なことをつなげていく形です。

辞めるときも、最後は先生やお友達に感謝を伝えられるような時間を作ると、気持ちよく終われます。

終わり方が良ければ、「また何かにチャレンジしたい」という気持ちも自然と出てきます。

まとめ 親子で一緒に揺れながら前に進もう

子どもが「行きたくないけど辞めたくない」と感じるのは、成長の過程でとても大切な揺れです。

その気持ちに寄り添ってあげることで、子どもは自分の感情を言葉にする力、そして自分で選び取る力を育てていきます。

親としては、すぐに答えを出すのではなく、「どうしたらいいか一緒に考えようね」という姿勢を大切にしていきたいですね。

習い事を続けることも、辞めることも、どちらも正解です。

お子さんが納得し、前向きに決断できるよう、そっと背中を押してあげましょう。

この経験は、きっとこれからの人生にも活きてくる、大切な力になります。

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